英検やTOEICなどの検定試験、大学入試、高校入試にいたるまで、いろいろとリスニング力を問う問題はあります。英会話をしようとしても、まず相手が何を言っているのかが分からないと会話になりません。
そんな大事なリスニングですが、学校教育ではリスニングの勉強にあまり時間を取れていません。
まず文法やリーディングに時間を取られてしまい、リスニングにまで手が回っていないのが現場の状況だ。

学校でよくするリスニングの練習は「CDを流して問題集をひたすら解く」くらいでしょうか。しかし、リスニング問題集を解いても身に付くのは問題を解くテクニックで、リスニング力はあまり向上しません。

じゃあ、リスニング力を向上させるにはどんな勉強をしたら良いの?
リスニング力は、ただ漠然と聞くだけではなくて状況に応じて原因と対策を考えることで効果的に身に付けることができます。
こんな方におすすめ
- リスニング力を身につけたい
- リスニングの勉強方法を知りたい
- リスニングの勉強を何をしたら良いか分からない
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英語のリスニング力はトータルの英語の勉強が必要

まず結論を。英語リスニング力を上げるには全体としての英語の勉強が必要です。
リスニングは「聞く練習」だけではダメ!

もちろん聞く練習は必要ですが、それだけでなくトータルの英語の勉強が必要になります。
リスニング力を上げる英語学習
- 単語力を付ける
- 発音のルールの練習
- 英文法の学習
- リーディング力

ただ聞くだけじゃなくてコツコツ英語学習することがリスニング向上につながるのかな?
リスニング状態、「どれくらい聞き取りができるか」に応じて必要な英語学習を取り入れていけば、効果的にリスニング力が上がります
英語リスニング4つの苦手状態の原因と勉強方法

英語リスニング力を上げるためには自分が今どんな状況なのかを知る必要があります。
大きく分けて4つの「リスニングができない状態」があります。
英語リスニング4つの状態
- 音を単語として認識できない
- 単語は聞こえるが文全体の意味が分からない
- ゆっくりはともかく、音声が早いと理解できない
- 何度か繰り返し聞かないと理解できない
「なぜ英語が聞き取れないのか。」
その原因から必要なことをはっきりさせ、勉強方法に取り入れていきましょう。
音を単語として認識できない
1つ目は、そもそも流れてくる音を単語として認識できない状態です。
これには3つの原因が考えられます。
単語が聞こえない3つの原因
- 単語を知らない
- 単語は知っているが音声と結びつかない
- 単語がいくつか固まって別の音に聞こえる
単語を知らない
単語を知らない場合は、単語を覚えるしかありませんので、地道に単語を増やしていきましょう。
単語は知っているが音声と結びつかない
単語は知っているが音声と結びつかない状態。
「文字を見ると分かるが音を聞いただけでは分からない。」
単語を発音できるように練習しないといけないですね。
発音できない音は聞こえない。せっかく単語を覚えるなら、声に出してセットで発音も覚えよう。

単語がいくつか固まって別の音に聞こえる
単語が1語だけだとはっきり聞こえますが、いくつか固まると別の音に聞こえることがあります。
ある音が欠落したり変わったりすることが英語ではよくあります。
もっと詳しく
リンキング(連結):前後の音が連結して別の音に聞こえるタイプ。
- front of :/frʌnt(ə)v/ 「フロンタブ」
- kind of :「カインダブ」/kάɪnd(ə)v/
- would you:「ウッジュー」/wˈʊdjʊ/
リダクション(欠落):ある音が発音されない
- good job はしばしば「グッジョブ」dが消える
- I like him. 「アイライキム」hが消える
このように、単語がつながると、音がくっつりたり、消えたりすることがよくあります。
英語の音のスピードが上がるとよく起こる現象です。
音の変化については場数を踏むのが一番。
ナチュラルスピードの音声教材を利用して実際の音の変化を聞いて経験していくのが一番です。
勉強方法としては音読が最適。
一語一語読むだけでなくて、音の繋がりや欠落を意識して音読したら良いですね。
単語は聞こえるけど文全体の意味が分からない
2つ目は、単語は分かるのに(聞き取れるのに)文全体の情報が理解できない状態です。これも原因は3つ考えられます。
全体の情報が分からない3つの原因
- 文法・構文の知識不足
- 返り読みをしている
- 背景知識がない
文法・構文の知識不足
いくら単語が聞こえても、英文を理解する力がないと情報を理解することができません。
そのためにはやはり英文法や構文の勉強は必要です。
リーディング力の向上におすすめの参考書は別の記事でまとめています。
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【現役英語教師】おすすめの英語参考書|本物のリーディング力を手に入れろ!
続きを見る
返り読みをしている
リスニングで英文を理解するために大切なのはスピード。
正確に読んだり、和訳をするためには、返り読みが必要なこともあります。
しかし、リスニングにおいては返り読みで理解をしていたら間に合いません。
必要なのは速読。返り読みをせずに前から理解していく読み方、スラッシュ・リーディングが必要になります。
背景知識がない
背景知識は聞くためにも読むためにも必要です。
知っている話は頭に入って来やすいものですね。
自分のよく知らないテーマは、いくら単語を聞き取れて英文を理解できたとしても、具体的にイメージが持てません。
「結局、何の話かよく分からない」という状態になってしまいます。
日本語でも構わないから、普段から新聞を読むなどアンテナを広げることも英語学習の1つだ。

ゆっくりだと理解できるが早い音声はだめ
3つ目は、スピードについていけないという状態です。これは主に次の2つが原因です。
早さについていけない2つの原因
- 情報に対する反応が遅い
- 単語がいくつか固まって別の音に聞こえる
単語のカタマリが別の音に聞こえるのは、先ほど説明した通り。連結と欠落を覚えていくしかありません。
情報に対する反応が遅い
「反応が遅い」というのは、聞こえてくる英文を即座に理解できない。
情報処理のスピードが遅いということです。
情報処理のスピードを上げるには読むスピードを上げる練習が最適。
いわゆる「英語速読」ができるようになれば、聞こえてくる英文を理解するスピードも速くなります。そのためにも、返り読みをしないスラッシュ・リーディングが必要になりますね。
実は、音読練習も英語を読むスピードを上げる練習になります。
繰り返されると理解できるが一回では理解できない
4つ目は、何度か繰り返されると理解できるけど、一度聞いただけでは理解できない状態です。
一度で理解できない3つの原因
- 集中力が足りない
- 反応が遅い
- 返り読みをしている
「何度も聞き直さないと理解できない。」その主な原因は一発勝負の集中力が不足していることです。
集中力が足りない
集中力を高める練習方法はいくつかありますが、リスニングにおける練習方法としてはディクテーションとシャドーイングと呼ばれる練習が集中力を高めるのに役立ちます。
- ディクテーションは英文を聞いて話された英語を書き取る練習。聞き取れるまで何度も繰り返し、正確に聞き取ることを目指します。
- シャドーイングは読まれた音声の後に続いて影(シャドー)のように後に続けて発音する練習です。やってみると分かりますがすごく音声に集中しないといけません。
ディクテーションとシャドーイングは、かなり難易度と負荷が高い練習方法ですが、コツコツ続けると、リスニングの力は劇的に向上します。
英語リスニング勉強におすすめの教材

英語のリスニングの勉強はトータルの英語の勉強が必要になります。

リスニング力を伸ばすには、聞く練習と合わせて、文法とかの勉強も必要なのね。
どんな勉強をしたら良いのかをまとめてみましょう。
リスニング力向上に必要な学習
- 単語を覚える(その際に発音も一緒に)
- 英文法や読解力を付ける
- 音の変化を覚える
- 精聴と多聴を繰り返して音に慣れる
単語や英文法等は英語学習の基本。これはコツコツと積み上げましょう。
単語に関しては、別の記事でまとめていますので合わせてお読みください。
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【英単語の勉強法】TOEIC900点英検1級に必須|現役英語教師が解説
続きを見る
音の変化を覚えるのにおすすめな教材
音の変化を覚えるには、まず音の変化のパターンを知らなければいけません。
『英語リスニング大特訓』この本の第1章では音の連結や欠落についてかなり詳しく説明してくれています。
音の変化パターンを知ったら、練習をして覚え込んでいく必要があります。
音の変化を覚えるにはやはり音読が一番。

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【英検・TOEIC対策】3ステップ英語音読の正しいやり方|毎日少しのスキマ時間で英語力アップ|現役英語教師が解説
続きを見る
音読教材も紹介しているので参考にしてください。
精聴におすすめな教材
ディクテーションはかなりの疲れる根気の必要な練習なので短時間で集中して取り組めるものがよいです。ディクテーション最初の1冊は『ゼロからスタート英語を聞きとるトレーニングBOOK』がおすすめ。
1日10分程度だからそんなに負荷にならずに継続しやすい。31日完成を目標にして初心者から使えます。
シャドーイングの練習には『TOEICリスニング満点コーチが教える 3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング』をおすすめします。
3ヶ月分の英語教材と音声が付いているので、買ったその日から練習を始めることができます。シャドーイングのやり方やその練習の意味等がきちんと説明されていて、始めてシャドーイングに挑戦する人向けです。
多聴(たくさん聞いて音に慣れる)におすすめ教材
多聴は精聴と違って、英語の音声をたくさん聞いて音に慣れることが1番の目的です。
発想としては、英文多読と同じで、「気軽に楽しんで」聞けるものが良いですね。
インターネットで調べると、CNN等の海外のニュースも視聴できるし教材はいくらでもありますが、やはり楽しんでたくさん聞くのであれば「海外ドラマ」をおすすめします。
多聴も続けることが大切です。全部聞き取ろうとせずに、「聞けるところだけ聞く」という姿勢で大丈夫です。
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【海外ドラマで英語学習!】留学なしで英語リスニング&スピーキング力を鍛える勉強方法
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英語リスニング力をつけるにはバランスの良い勉強を!

英語のリスニングの勉強の仕方は、普段の英語学習に、少し英語を聞く勉強を加えていきましょう。
基本となる語彙・文法、長文読解の力がなければ、いくら耳を鍛えて音が聞き取れても意味がありません。
今回紹介した「4つのリスニングの状態」のうち自分がどれに当てはまるかを確認して、必要な学習をしていきましょう。
正しい練習でリスニングはできるようになる!

「聞くこと」はコミュニケシーションの基本です。
リスニング力を上げて、コミュニケーションで使える英語を身につけましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。