この記事について
英語や授業、日々のことについて、なんとなく書いていく日記的な内容です。
高校の教師をしていると、進路の相談をすることが多い。
高校卒業してから、就職するのか、進学するのか。進学するにしても、大学へ行くのか、短大か、専門学校か。
特に大学への進学を希望する場合に、一番問題になるのはどの学部に進学するか。
最近のキャリア教育の流れでは、「将来なりたい職業をイメージして、そのために必要な勉強ができる学部に行きなさい」という指導しています。
例えば、看護師になりたいのなら看護学部。教師になりたいなら教育学部。弁護士になりたいのなら法学部。モノづくりなら工学部。そんな感じで進学先を選んでいきます。
他にも、さらに経済学部や理系の学部の方が就職に有利だと判断して学部選びをする生徒や保護者は多いですね。
しかし、文系の生徒によくこんなことを言われます。
文学部に行きたいって言ったら、「文学部なんか行っても意味がないからやめなさい」って親に反対されているんです。
文学部出身の私としては、そんなこと言われて、黙っていられません!
ということで、この記事は文学部に行っても無駄と考える人への文学部出身者からのメッセージお伝えします。
文学部って何するの?
そもそも文学部って何するところなの?という疑問。
今って純粋な「文学部」という名称が減ってきているような気もしますが、文学部ではその名の通り「文学」を研究するところ。
私が行っていた大学では、文学部は哲学科・史学科・文学科の3つに分かれていました。
しかし、どの学科でも、基本的には文献を読んで論文を書くのが目的になりますね。
だから、本を読むのが大好きという活字好きな人にとっては、文学部は最高の学部かもしれないです。
しかし、何か資格が取れるのか?となると、基本そんなもんは取れません。
図書館司書とか学芸員とかも取れるところもありますが、文学部出たら何かあるのか?と聞かれると困りますね。
「じゃ、なんのために文学部に行くのか?」と言われると、私は胸をはってこう言います。
「可能性を広げるために行くんです!!」
大学は可能性を広げるところ。文学部は可能性を広げるのにぴったりな場所。
文学部の何が良いのか?
先ほど言いましたが、文学部を卒業したからといって、何か資格が取れるわけではないし、何かの職業につけることもありません。
でも、「自分が何になりたいのか」、自分が目指すべき人生を4年間かけて、たっぷりと考えることができます。
「何にもなれない。」
逆に言うと「何にでもなれる。」
もちろん、理系学部のような研究者やお医者さんになれる、とは言いません。
だけど、私の経験上、教師になったり、銀行や商社、公務員に就職したりと、就職先に困っている人はいませんでした。
色んな本を4年間読んで、しっかり自分の人生を豊かにして、自分のこれからのことを考える貴重な時間をくれるのが文学部です。
職業のためだけに大学に行って勉強するって味気ないじゃないですか!
まとめ キャリア教育の盲点
今の高校は、キャリア教育という観点から、将来の仕事を見据えて、大学などの進路先を検討させています。
仕事というゴールがある方が、勉強のモチベーションも上がりますしね。
一方で、高校3年生、18歳の子供に将来のことを決めなさい、と言うのは少し酷な気がします。
18歳時点で、将来を決めないといけないって、かなり難しいんじゃないですかね。
18歳ってバイトもしたことない生徒が多いし、自分の適正なんかほとんど分からないじゃないですか。それなのに、60歳まで働くとして、40年間働く一生の仕事を決めて、そこに向かって勉強しようって無理じゃないかな?
人生の経験値がほとんどない18歳にゴールを決めさせるっていう困難さ。これって今のキャリア教育の盲点ですよね。
何をするのかよく分からない文学部に入って、人生や今後について、経験を積みながら考えていくのも、私はありだと考えます。
ということで、文学部の先輩からのメッセージでした。
最後までお読み頂きありがとうございました。