どうして英語には大文字と小文字があるの?
この記事について
この記事は、中学1年生の娘が抱いた英語に関する素朴な疑問に対して答えていきます。英語教師の父としてのプライドを保つことができるでしょうか・・・。
「日本語にも、漢字、平仮名、カタカナがあるのと同じでいいじゃん!」と思ってしまいますが、大文字だけ、小文字だけではなんでダメなんでしょうね。
英語を教えて20年以上経つけど、考えたこともない疑問です。さすが子供の発想力にはびっくりですね。
今回は、英語の大文字と小文字がなぜ生まれたのか、という疑問を考えてみます。
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結論 アルファベットの小文字は便利だから生まれた?
まず、結論から述べると、アルファベットに大文字と小文字があるのは、当時の人たちが言葉をより便利に言葉を使うための知恵だったと言えます。
小文字が生まれた当時は、今のようにインターネットみたいな便利なものはないし、紙や印刷技術もなかったので、知恵を絞って便利さを生み出していったんですね。
それでは、もっと具体的にアルファベットの大文字と小文字について説明していきます。
アルファベットはもともと大文字
アルファベットは、英語だけでなく多くのヨーロッパの言葉で使われています。
その基本はローマ帝国の公用語の「ラテン文字」だそうです。このラテン文字というのも、ギリシヤ文字やエトルリア文字を元にしているみたい。
最古のラテン語の碑文は紀元前7世紀。
アルファベットの起源をさかのぼるともっと古くなりますが、ここでは本筋とズレるので詳しくは述べません。
ともかく、英語のもととなるラテン文字は大文字だけで構成されていたようです。
確かに、昔は文字を石や金属板とかに刻んでいたと考えると、カクカクしている大文字の方が彫りやすかったのかもしれないですね。
小文字が生まれたのはなぜ?
さて、大文字からスタートしたラテン文字に小文字が誕生したきっかけとされているのが、8世紀末〜9世紀はじめのカロリング=ルネサンスと呼ばれる動き。
カロリング=ルネサス
8世紀末~9世紀はじめ、フランク王国カール大帝の保護による文芸の復興。
このカロリング=ルネサンスの目的は色々とありますが、カール大帝(当時の王様)がキリスト教の保護と普及のために、ラテン文字を広めたかったのかな?と思います。
聖書はラテン語で書かれていたので、ラテン語が分からないと、キリスト教の普及ができないですしね。
この時期に、文芸活動が活発になって、ラテン文字を書くことが増えたのですけど、当時は今のような紙も印刷技術も普及していない時代です。
羊の皮をなめした羊皮紙に手で書いていたそうです。
ここから諸説ありますが、大きく2つほど小文字が生まれた理由があるようです。
①1つ目のとして、羊皮紙が高価だったので、限られた紙面(羊皮紙面?)にたくさん書き込むことができるように、大文字よりも小さな文字で書いた方が経済的だった。
②2つ目として、当時は印刷技術がなかったので、聖書や文芸作品を速く書き写すために、従来の大文字を崩して、画数の少ない小文字で書いた方が効率的だった。
カール大帝の宮殿で用いられたのが、現在のアルファベットの小文字のもとであるカロリング小字体と呼ばれるもの。アルクインさんが中心になってこの字体を作ったそうです。
下の画像はカロリング小文字体で書かれたカロリング朝の福音書です。
こうやって眺めてみると、私たちの知っているアルファベットの小文字に似通っているところが多いですよね。
もともと大文字だけだったラテン文字ですが、当時の人々が便利さを追求して生み出した小文字。
そのラテン文字が、今でも英語を始めとして多くの言葉でいまだに使われているというのは、なんとも感慨深いものですね。
まとめ なぜ?を考えると学びは面白い
今回は「なんで英語には大文字と小文字があるの?」ということについて調べてみました。
娘には、簡単に次のように説明しました。
「大文字だけで書くより、小文字で書いた方が速く書けるし、スペースの節約になるよね。だからだよ。」
ぶっちゃけ、そんなことは知らなくても、英語は使えるし、できるようになります。
でも、「へ〜」と思えるのが学びの喜びなのでないかな、と思うし、文学部出身者としては、そういう学びの喜びを子供に知ってもらえるのは嬉しい限りですね。
しかし、毎回この手の質問にはドキドキしますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。