どうしてcanだけ、cannotってnotをくっつけるの?may とか mustとかは、may not, must notって離すよね?
この記事について
この記事は、中学1年生の娘が抱いた英語に関する素朴な疑問に対して答えていきます。英語教師の父としてのプライドを保つことができるでしょうか・・・。
中学1年の5月で助動詞canを習うんですね。なんか早い気がしますが・・・。
ともかく、助動詞のcanの否定型はcannot。
「そういうもんだ。」と思っていた父としては、娘の「なぜ?」という疑問にちょっと衝撃。
「can notは間違いで、cannot 又はcan'tにしなさい。」と、何の疑問も持たずにそのように教えていました。
今まで考えたこともなく、パッと答えられなかったので、ちょろっと調べてみました。
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cannotとつづる有力な2つの理由
canの否定には、cannot, can't, can notと3種類あります。
”can not”と間を空けて書くのは、一般的ではないが間違いでも無いようです。
実際、中学英文法の定番書『SUPER STEP 中学英文法』(くもん出版)には次のように記載されています。
can'tはcan not, cannotの短縮形です。
(中略)
can notはふつうcannotと1語で表します。短縮形のcan'tもよく使います。
『SUPER STEP 中学英文法』(くもん出版)
また、高校英文法の定番の『ロイヤル英文法』にも、can notの記載がありました。
口語では、一般的に助動詞の現在形・過去形は not と短縮形を作る。
can not → can't [kænt], cannot[kæ'nɑt]
『徹底例解ロイヤル英文法』(旺文社)
旺文社の捉え方だと、cannotはcan notの短縮形みたいです。
また、別の文法書には次のようにあります。
否定では、can't, cannot, can notの3つのつづりがあるが、イギリス英語ではcan notは用いない。can't は口語体の文体でよく用いる。
『英文法詳解』(学研)
やはり、canの否定しては、can'tかcannotが一般的なようですね。
使い分けとしては、以下のような感じでしょうか。
- can't:話し言葉で多い
- cannot:書き言葉で多い
- can not:??
can notという離れた形が使われる場面もよく分からないし、cannotがなぜくっついているかを明確に記載している書籍を見つけることができませんでした。
そこからさらに、ネットや別の本や辞書を色々とリサーチした結果、2つほど有力な説がありそうです。
cannot 2つの理由
- ”can not”の発音がつづまって文字に反映された
- not が can を否定していることを明示するため
【1】 ”can not”がつづまって発音されるようようになり文字に反映された。
canの”n”とnotの”n”の音が同じですよね。「キャン ノット」→「キャノット」と繋がって発音されるようになって、その発音が文字反映されたという説。
これはこれで可能性がありそうですね。
【2】not が can を否定していることを明示するため。
例えば、次の英文で考えてみましょう。
"I can not go there tonight."
この英文には、否定のnotがcanに係るか、後ろのgoに係るか、という2つの解釈が存在しますね。
- canに係る:I can not go there tonight.(私は今夜そこに行くことができない)
- goに係る:I can not go there tonight.(私は今夜そこに行かないことができる)
このように2つの解釈が存在するので、canとnotをcannotとすることで、「notはcanを否定していますよ」と明示するため。
この説もそれなりに合理的ですね。
実際、『英文法総覧』(開拓社)に次のような例文がありました。
2. notに強勢があると、否定は本動詞の方に係るようになる。
We can (simply) not go. <行かずにすませたっていいんですよ。>
『英文法総覧』(開拓社)
ここでの not は後ろの go に係っていると考えられますね。
このような意味の誤解を避けられ、なおかつ発音の便利さのために、can notがcannotとして使われるようになったのかな?と、私なりに結論づけました。
まとめ cannotとするのは合理的な理由
今回は、娘の疑問、「なんで can と not はくっつけるの?」に答えてみました。
まとめてみると、次の2つの理由が考えられそうです。
- canとnotがくっついて発音されて、表記もそれに合わせた
- notがcanを否定していることをはっきりと示すため
一応、以上の説明で娘は納得してくれました。
考えてみると、とても合理的な理由でcannotとなっていますね。
英語教師としての本音を言うと、「言葉なんだから、あんまりこだわらずに、『そういうもんだ』と思って欲しいな・・・。」というところです。
もっとも小さな疑問を抱くことって学びにとっては大切なんでしょうね。
最後までお読みいただきありがとうございました。