大学入試において最大規模の試験である大学入学共通テスト(以下共通テスト)は、国公立大学入試はもちろん、私学入試もの重要な試験です。
共通テストに向けて、年末年始はほとんどの受験生がマーク式の問題漬けになっている時期だね。
大学入学共通テストが終われば、私学入試が本格化し、さらに2月下旬の国公立大学個別試験へと向かっていきます。
今のうちに、共通テスト後にすべきことを計画しておけば、共通テストが終わった翌日から、もっといえば、終わった夜から、次のゴールへ向けてスタートすることができる!
それって共通テストが終わってから考えたらいいんじゃ無いですか?
現時点では共通テストに集中して勉強していけば良いのですが、共通テスト後に取り組むべきことを明確にしておくことはとても大切です。
共通テストが終わって、結果に一喜一憂してぼんやりしている暇はないからです。共通テストが終わってから個別試験までの約1ヶ月の間にしっかり取り組めば、学力はもう1段階上がります。
共通テストが終わって、ちょっと休憩のつもりが、しっかり休んでしまって、勉強が止まってしまうこともあります。
共通テスト後の時間を有効に活用できた受験生にこそ、志望校合格という栄冠は輝きます。
この記事で分かること
- 大学入学共通テスト後の学習計画が大切な理由
- 大学入学共通テスト後にすべき3つのこと
この記事では、共通テスト後の学習計画を今のうちから練っておく重要性や共通テストが終わってから取り組むべき3つのことについて解説をしていきます。
今回の3つのポイントを押さえて、私学入試や個別試験に向けて良いスタートを切ってほしいと考えます。
大学入学共通テスト後の学習計画が大切な理由
まずは、大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)後の学習計画がなぜ大切なのかという話からスタートします。
大学入試で最大のテストである共通テストは、国公立入試はもちろん、私大入試にとっても重要な試験です。
共通テストが他のテストとの違いは、すぐに自己採点をして試験の結果を知ることができること。
自己採点の結果によって、受験する大学が変わることもあるので、受験生にとってはかなりプレッシャーのかかる試験です。
自己採点で結果が分かってしまう、というところが落とし穴になりうる。
自己採点をした結果、思うような点数が取れなかった場合は、志望校を変えざるを得ず、気持ちを切り替えて勉強するのに時間がかかってしまう。
逆に、思い通りの点数や思わぬ高得点を取ると、安心や油断から勉強のペースダウンにつながってしまう恐れもあります。
さらにいうと、最大のテストである共通テストにコミットし過ぎたために、共通テストが終わって受験勉強のテンションが下がってしまう。
私は職業柄、いわゆる「燃え尽き症候群」になってしまう受験生にたくさん出会ってきました。
共通テスト後の落とし穴
- テストの結果によって、次の学習へスムーズに移行できない
- 共通テスト後の燃え尽き症候群
うーん、確かに試験で失敗しちゃうとモチベーション下がりますよね。
こうした共通テスト後の落とし穴にハマらないために、共通テストが終わった瞬間から次に向けて勉強する学習計画を立てておく必要があります。
共通テストが終わってから、個別試験までの約1ヶ月にしっかりと取り組むことができたら、学力がもう1段階上がります。
言ってみれば、共通テスト後の1ヶ月間はボーナスタイム。ここで勉強できるかどうかがかなり重要になります。
共通テスト後に何をするかが決まっていれば、試験結果など余計な事に惑わされずに、勉強を続けていくことができる!
共通テストの後に、すべき勉強の計画をしっかりと立てていたら、試験が終わったその夜から学習を開始できます。
共通テストが終わった後に空白の時間を作らず学習を積み上げること何より大切。
そのためにも共通テスト後の学習計画を十分に考えておく必要があります。
共通テスト後の学習計画を練っておくことで、共通テスト後の落とし穴を回避して、個別試験や私大入試に向けて勉強をすることができる。
前置きが長くなりましたが、次に共通テスト後にするべき3つのことについて解説をしていきます。どんな学習計画を立てるにしても、この3点をしっかりと押さえておきましょう。
大学入学共通テスト後にすること①記述へのシフト
共通テスト後にまずしなければならないことは、記述式問題へのシフトです。
おそらく、11月くらいから模試を始め、普段の勉強はマーク式問題中心になっているはずです。マーク問題に慣れてしまうと、書くことがとても面倒になってしまう。
マーク式でも記述式でもコアとなる英語力は変わらないけど、答案を作成する練習をしないと記述問題では合格点が取りにくいよ。
国公立大学の個別試験には、たくさん記述させる問題がかなり出題されます。
特に、英語や国語では、要約問題はもちろん、「50字程度で説明しなさい」、「60語程度の英語で書きなさい」など、たくさん記述させる傾向が強いですよね。
例えば、広島大学の英語は以下のようなもの。
「各段落を30字以内の日本語で要約しなさい。」というもの。がっつりと日本語で記述する設問になっています。
かなりがっつり書く問題だけど、英文が読めたら書けるんじゃないですか?
英文を読むことと、日本語でまとめる、説明する、和訳することは別だよ。読めたからすぐに書ける訳ではないからね。
また、英作文もけっこう書かせるような設問になっています。
〔Ⅲ〕と〔Ⅳ〕の英作文ではそれぞれ100語程度の英文を書くような問題になっています。
ずっとマーク問題ばかりだったから、英作文って結構きついですね。しかも100語も書くなんて・・・。
今回取り上げた広島大学の問題はあくまでも一例ですが、日本語であれ英語であれ、かなりの記述が求められるのが国公立大学の個別試験です。
しかも大学の難易度が高ければ高いほど、記述量は増える傾向にありますね。
マーク式問題に慣れきってしまった思考や体を記述に対応できるようにしていくことが、必要になってきます。
なるほど!
でも、記述問題に対応するって具体的に何をしたらいいのですか?
実際に手を動かして書くことが一番大切になるね。具体的な内容については、残りの2つのポイントで解説をするよ。
マーク問題に慣れた頭と体を記述式問題に変えていく。
そのために手を動かして書くことを増やす。
共通テスト後にすること②基礎力の底上げ
共通テスト後にすることの2つ目は、基礎力の底上げになります。
ここからは英語に特化して話をしていきましょう。
大学入試の英語の問題は、ざっくりいうと、文法問題、長文読解、英作文の3種類になります。もちろん受験する大学によって多少の違いはあるけれど、大体はこの3つです。
「記述式問題への対応をしなければいけない」と考えて、いきなり過去問をやるよりも、まずは文法・長文・作文の基本問題を徹底的に演習して、基礎力の底上げを図ることが近道です。
繰り返しになるけど、この1ヶ月は学力をもう1段階上げるチャンスです!
英語基礎力の徹底のために以下のような5つの勉強をしていきましょう。
- 語彙力の強化
- 文法問題演習
- 基本的な作文演習
- 記述式読解演習
結構たくさんありますね。できるかな??
共通テストが終われば勉強する科目も絞られるから、1つの教科に費やせる時間は増える。時間は作れるから、最後の追い込みをかけてほしい!
ほとんどの受験生が受験教科・科目数が減って油断している時期だからこそ、ここで勉強できたら大きな力になりますよ。
語彙力の強化
語彙力、英単語の知識は英語力の基礎中の基礎です。
単語は1つでも多く知っていた方が良い。英語を読むのにも、書くのにも、単語の知識は必須になります。
「もっと難しい英単語を覚えよう」と無理をするよりも、基礎単語からもう一度見直して、「ぬけ・もれ」を潰していく発想の方が効果的です。
難しい単語は誰にとっても難しいから差が付きにくい。標準的な単語が身に付いていない場合は、他の受験生との差が付いてしまう。
単語帳の最初から覚え直しをした方が効果的なんですね。
文法問題演習を通して文法と構文の確認
英文法や構文も復習しておきましょう。
受験する大学で文法問題が出題される場合は、入試に直結した演習になるし、長文読解や英作文に役立つ語法や構文の知識の復習にもなります。
どんなものを使って勉強したらいいですか?
文法問題演習用の問題集は色々とありますが、正直なところそこまで大きな差はありません。ネクステでもビンテージでも、ブライトステージでも、自分が使いやすいと思うもので大丈夫です。
あえて「おすすめの文法問題集」を挙げるとすれば・・・
- Next Stage 英文法・語法問題(桐原書店)
- 即戦ゼミ3 大学入試英語頻出問題総演習(桐原書店)
- Bright stage 英文法・語法問題(桐原書店)
- 大学受験スーパーゼミ 全解説頻出英文法・語法問題1000(桐原書店)
- 英文法・語法 Vintage(いいずな書店)
ここらあたりを使っておけば、まず間違いありません。現役の高校生であれば、学校で購入しているものがあるかもしれないので、それでも十分です。
何を使って学習するにせよ、共通テスト後にもう1度文法と語法を見直すことはとても大切だよ。
基本英作文を練習する
短めの基本的な英作文を練習することは、作文力はもちろん、語彙や構文、文法の復習にもなります。
個別試験で自由英作文があるからと言って、いきなり100語程度の作文練習に取りかかるよりも、まずは基本作文の復習をすることから始めましょう。
長い英作文は早めに対策が必要な気がしますけど・・・?
遠回りに思えるかもしれないけど、短くて基本的な英文を正しく書く「和文英訳」ができないと話にならないよ。
焦って応用問題をするよりも、基礎問題を復習することがかえって短時間で作文力を上げることにつながります。
教材としては、「和文英訳」(日本語を英語にする)系の作文問題集であれば、どんなものを使っても大丈夫です。自分が高校で購入しているものでも構いません。
あえて、「おすすめの英作文問題集」を挙げるとすれば・・・
- [必修篇]英作文のトレーニング(Z会)
- 大学入試英作文はイパートレーニング(ピアソン桐原)
基礎的な英作文の練習であれば、この2冊が鉄板になります。基礎的な作文に必要なポイントをほぼ網羅していますので、短期間での作文力向上に役立ちます。
読解演習で記述量を増やす
最後の練習は英文読解力の底上げ。
英語長文は入試の核となる問題になりますが、この時期は特に記述式を意識した演習を取り入れましょう。
いきなり英語長文問題を解くよりも、中文(あまり長くない英文)の読解演習をして、英文読解のポイントを押さえる演習をしていこう。
英語長文を闇雲に読みまくっても、効果的な練習とは言えません。まずは、「正しく読む、適切な日本語に直す」という練習をしていきましょう。
そのためにも、英文読解のポイント(英語長文でよく狙われる表現や構文)をしっかりと押さえた演習が必要になります。こうした読解ポイントを演習するのに、英語長文問題の一部を切り取った中文を扱った読解問題集がおすすめです。
私が受験生に絶賛お薦めしているのが下の4つの教材。
- 大学受験のための英文熟考 上・下(旺文社)
- 大学受験スーパーゼミ 徹底攻略 英文解釈の技術100(ピアソン桐原)
- 合格へ導く英語長文Rise 構文解釈1基礎~難関編(高2~難関国公立・難関私立レベル) (Z会)
- 構文把握のプラチカ英文解釈 (河合出版)
この4つの問題集は、数行の英文を読んで、読解のポイントや構文を学習することが目的。長文を全部読むわけではないので、学習にかかる時間も少なく効率的に読解ポイントを演習することができます。
また、個別試験を意識した問題集になっているので、ほぼすべての問題が記述問題になっているので、和訳や説明などの書く練習にもなります。
いきなり実践的な過去問に取り組むこのも悪くはないけど、共通テストが終わったらまず基礎からの復習を入れることで入試過去問に取り組む準備をしておこう。
共通テスト後にすること③過去問の徹底活用
共通テスト後にすることの3つ目は、受験大学の過去問を徹底的に演習すること。
受験大学の過去問を、ただ解いて解説を読むだけでは不十分。問題の傾向は分かるかもしれないけど、対策ができているとは言い難い。
過去問は徹底的に活用する必要があります。
何をしたら過去問の徹底活用になりますか?
目標点、設問形式、設問難易度の把握の3つを知ること。そのためにも最低5年分の過去問を3回は繰り返し解いて欲しい。
受験校の過去問を解くことは、どの受験生でもやっていることですが、せいぜい設問形式を押さえるくらいのことしかやっていないのが現状。
具体的な目標点を定めて、設問形式はもちろん、個々の設問の難易度を知って、どの設問にどれくらい時間をかけて解いていくかという戦略を立てる必要があります。
最低5年分の過去問を繰り返しといて、徹底的に過去問をしゃぶり尽くす。ここまでして初めて活用できた、と言えます。
具体的な過去問の活用方法については、別の記事でまとめていますので合わせてお読みください。
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その対策で大丈夫?【大学入試】過去問の徹底的な活用方法|現役高校教師が解説
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過去問演習は、基礎力の底上げが終わってからの方が良いですか?
その順番でも良いし、同時並行でも良い。どちらでも構わないよ。
実際、共通テストが終わって、自己採点の判定が出るまで数日かかります。つまり、個別試験などの受験校が確定するまで少し間が空きます。
その間は、未確定の受験校の過去問に取りかかるよりも、基礎力を底上げしつつ記述へのシフトを意識した勉強をした方がいいでしょう。
受験校が決まれば、同時並行に過去問演習を入れていけば良いですね。
大事なことは共通テスト後に勉強の空白期間を作らないことですから。
まとめ 大学入学共通テスト後の考え方
今回は、大学入学共通テスト後にすべき3つのこと、なぜ共通テスト後の学習計画が大切なのか、という2点について解説をしてきました。
共通テスト後にスムーズに次の勉強につながるために、共通テスト後の学習計画、最低でも使用する教材くらいは決めておきましょう。
最後に、現役の高校英語教師として、多くの受験生を指導してきた立場から、大学入学共通テスト後の心構えについて書いておきます。
- 自己採点は絶対にミスしないこと
- 結果に一喜一憂しても意味がない
- 共通テストが終わった直後から次の準備を始める
- 結果はどうあれ勉強したことは無駄にならない
当たり前だけど、自己採点をミスったらすべての計算が狂います。志望校の判定が変わってくる。自己採点のミスは絶対に無いように。
共通テストの結果に一喜一憂しないこと。あくまでも共通テストは途中経過です。最終的な志望校の合否結果が出るまでは勉強を続けましょう。共通テストが終わった直後から次へのスタートができる受験生は一歩リードできます。
大学受験は全員が志望校に合格できるわけでは無いので、当然不合格の人もいます。不合格だからといって、それまでの努力が無駄ということはありません。
必ず人生の何か別の時に勉強したことが生きてきます。だから結果がどうであれ、最後までやり切ることが大切。
最後は精神論ぽくなったけど、しんどい時期だからこそ、平常心で最後まで勉強し続けることが大切だよ。
全国の受験生。最後まで頑張ってください。応援しています。