
英語長文をすらすらと早く読めるようになりたい!
英文速読のためには、まずスラッシュリーディングを身に付けるのが一番。

この記事では、英語速読に必須のスキル、「スラッシュリーディング」のやり方を解説します。スラッシュリーディングの効果や具体的なやり方を現役の高校英語教師が説明していきます。
この記事でわかること
- スラッシュリーディングとは?
- スラッシュリーディングの具体的なやり方
- スラッシュリーディングをする上での注意点
「英語を読むのに時間がかかってしまって、模試や英語の試験でいつも時間が足りなくなる」とお悩みの方は是非お読みください。
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スラッシュリーディングとは?

スラッシュリーディングは「意味のまとまり」(sense group)ごとに英文を読む方法です。
意味のまとまりごとに、文を区切るときに、スラッシュ( / )を記入していくので、スラッシュリーディングといいます。意味のまとまりは「フレーズ」とも言えるので、フレーズリーディングと呼ばれることもありますが、同じことを指します。
このスラッシュリーディングが速読につながる理由を説明します。
スラッシュリーディングは英語の語順に通りに読む

スラッシューリーディングで速読ができる理由は、英語の語順どおりに読むから。
私たち日本人は英語を読むとき、日本語に直して英文を理解しようとします。このときに、いわゆる「返り読み」をするようになります。
- (普通の読み方)英語 → 日本語 → 情報・メッセージ
- (スラッシュリーディング)英語 → 情報・メッセージ
英語を読むのにいちいち日本語訳をしていたら時間はかかりますよね。
英語と日本語では語順が大きく違うので、英文をきれいな日本語にしてから理解しようとすると、とても時間がかかります。
スラッシュリーディングで、英語を語順のまま読むと、左から右へ視線がすすんでいくので、視線の流れがとまらないので、スムーズに速く読むことができます。
一方で、英語を日本語の語順で読もうとすると、「返り読み」になって、視線があっちこっちへ飛ぶ。そうすると、当然視線の流れが悪くなり、読むのに時間がかかってしまいますね。

「英語を読む」ことは「和訳」ではなくて、情報を読み取ることだ!

英語を読む目的は、情報やメッセージを読み取ること。「英語を読む」と「日本語に直す」は違うことなんですね。ここを勘違いしている学習者は多いですよ。
【英語速読】スラッシュリーディングのやり方

スラッシュリーディングが英語の速読に役立つとわかったところで、スラッシュリーディグのやり方を説明していきます。
スラッシュリーディングのやり方①基本編

まずはスラッシュリーディングのやり方の基本の基本を確認しておきます。
- 英文の意味のカタマリにスラッシュ( / )を入れる
- 語順どおりに読んでいく
簡単な例で確認しましょう。

例文
He was the captain / of the basketball club / in his school.
意味のカタマリごとにスラッシュを入れ、そのカタマリごとに、語順通りに意味をとっていきます。
- He was the captain:彼はキャプテンだ
- of the basketball club:バスケットボール部の
- in his school.:彼の学校の
ちょっとずつ前から情報を読み取っていくと、「彼はキャプテンだ」、「バスケ部の」、「彼の学校の」と読み取れますね。つまり、「彼は学校のバスケ部のキャプテンだ」と理解できるわけです。

なんとなく分かったけど、どこでスラッシュを入れる基準とかあるの?
どこでスラッシュを入れて、英文を区切ればよいかは、あいまいな部分もありますが、区切り方の基本ルールを覚えておくと役立ちます。
スラッシュリーディングのやり方②7つのルール

スラッシュは英文を読みやすくするための手段だから、自分が分かりやすいところ(自分が意味のとれるカタマリ)で入れたら良いです。
しかし、スラッシュを入れる場所の基本ルールを押さえておくと、よりスムーズにスラッシュを入れることができますよ。
スラッシュを入れる位置
- 接続詞の前
- 長い主語・目的語・補語の前後
- 長い前置詞句の前
- to 不定詞の前
- 比較級 than の前
- 接続詞 that の前
- 関係詞の前
以上のように7つの場所があります。たくさんあると思うかもしれませんが、慣れてしまうと無意識にスラッシュを入れられるようになります。
それでは1箇所ずつ確認して行こう。

接続詞の前(カンマがある箇所)
1つ目は、接続詞の前やカンマ(,)がある場所。接続詞は、and, but, or, because, when, if...などがありますね。その直前でスラッシュを入れるようにしましょう。
I wanted to be a florist / when I was a child.
私は花屋になりたかった / 子どもの頃に
接続詞whenの前でスラッシュを入れています。カンマ( , )の箇所も同じように区切りを入れましょう。
長い主語・目的語・補語の前後
2つ目は、長めの主語(S)、目的語(O)、目的語(C)の前後。例を見ましょう。
The girl singing on the stage / is my sister.
舞台で歌っている女の子は / 私の妹です。
例では長い主語(The girl singing on the stage )の後でスラッシュを入れています。
長い主語は直後で区切るのが原則ですが、目的語や補語の場合は、前で区切ったり、後ろで区切ったりすることがあります。
「どちらが正しいのか」とあまり神経質にならず、自分が意味が取りやすい方で大丈夫です。スラッシュはあくまでも目安ですから、自分が読みやすい位置でいいですよ。
長い前置詞句の前
3つ目は前置詞くの前。前置詞とは、at, to, in, of, for, などがありますね。「前置詞句」は前置詞で始まる単語のカタマリと考えたら良いですよ。長い前置詞句(カタマリ)の場合は直前に入れるのが原則です。
The tree is famous / for its wonderful shape.
その木は有名だ / その素晴らしい形で。
ここでは前置詞 forの前でスラッシュを入れていますね。
to不定詞の前
4つ目は、to 不定詞の直前です。「to 不定詞」は 「 to + 動詞の原形」で始まる句(カタマリ)ですね。
I have a friend / to talk with.
私には友達がいます / 話をするための。
to不定詞の前でスラッシュを入れています。少し短いですが、あくまでも例文だと考えてください。
比較級 than の前
5つ目は、比較級とセットで使われる than の直前に入れます。
The river is cleaner / than before.
その川はより綺麗だ / 以前よりも。
比較の場合だと、than以外にもasの前で区切る場合もあります。
接続詞 that の前
6つ目は接続詞thatの前。接続詞のthatは名詞のカタマリを作るもの。これも直前にスラッシュを入れます。
I found / that Paul was a very good tennis player.
私は分かった / ポールはテニスがとても上手だと。
SV+thatの形でよく出てくる「接続詞のthat」は、前で区切りましょう。
関係詞の前
ラストは関係詞の前。関係代名詞、関係副詞も直前にスラッシュを入れておきましょう。
These are the CDs / which I bought last year.
これらはCDです / 私が去年買った。
関係代名詞のwhichの前で区切っています。
「これらは、(私が去年買った)CDです」と返り読みをしないことが重要です。
以上の7つのルール参考にしながら、スラッシュを入れ、英語の語順どおりに意味を拾いながら読んでいきましょう。

このルールに絶対に従うべき?
このルールはあくまでも基本ルールです。スラッシュは意味を取りやすくするための手段。全部の箇所にスラッシュを入れる必要があるわけではありません。
自分が意味を取りやすい位置にスラッシュを入れていけば大丈夫!

では次に、スラッシュを入れる位置についての注意点を確認しておきます。
スラッシュリーディングの注意点

スラッシュリーディングをする上での注意点を1つだけ確認しておきます。それは、徐々にスラッシュを入れる数を減らすことです。

スラッシュをたくさん入れた方が、読みやすくなるんじゃないの?
ある程度「慣れ」も必要だけど、スラッシュの数が多すぎると読む速度が遅くなることがあるんだ。

慣れるまでは、細かくスラッシュを入れながら読んでいくことが大切です。スラッシュリーディングに慣れてきたら、スラッシュの数を減らして、意味のカタマリを大きくしてみましょう。
例文
People / in other countries / are also careful / about numbers. People / in China / feel it lucky / that they can have a car / with the number 8 / on the license plate. The pronunciation / of 8 / in their language / is easily associated / with a word / meaning / "prosperity / or fortune."
人々 / 他の国の / はまた注意深い / 数について。 人々 / 中国の / それを幸運と感じる / 車を持つことを / 8の数がついた / ナンバープレートに。 その発音 / 8の / 彼らの言葉で / 簡単に連想される / ある言葉と /「繁栄」と /「幸運」を意味する。

なんか、かえって分かりにくい気がする・・・
基本のルールはあるけれど、「どこまでスラッシュを入れるか」は読む人の英語力次第になります。もう少しスラッシュを減らして、カタマリを大きくしてみましょう。
例文
People in other countries / are also careful about numbers. People in China feel it lucky / that they can have a car / with the number 8 on the license plate. The pronunciation of 8 in their language / is easily associated / with a word meaning "prosperity or fortune."
他の国々の人たちは / また数字に注意深い。中国の人たちは幸運と考える / 車を持つことに / ナンバープレートに8のついた。彼らの言葉で8の発音は / 容易に連想される / 「繁栄」と「幸運」を意味する言葉を
かなりざっくりと大きく区切りました。こちらの方が分かりやすそうですよね。自分が「理解しやすい」と思えるくらいのカタマリで区切りましょう。
また、大きく区切ると、小さく区切るよりも、意味を速く理解できる。つまり、読むスピードが速くなります。
もちろん最初は無理をせずに、小さく区切れば良いが、慣れてきたら大きく区切ってスピードアップを目指そう。

まとめ スラッシュリーディングで英語力アップ

スラッシュリーディングは、英語速く読むための必須のスキル。速読に役立つのはもちろんですが、他にも嬉しい効果があります。
- 英語の語順で理解するから、リスニングの理解力が向上する
- 英語の語順感覚が身につき、英作文に役立つ
スラッシュリーディングができれば、流れてくる英語を聞こえた順に理解していけるし、英語の語順の感覚は、英語を書くときにとても役立ちます。
スラッシュリーディングをすることで、英語力がググッと向上していきます。
もちろん、すぐに身に付くわけじゃ無いけど、やればやるほど結果がついてくるよ。

最後にスラッシュリーディングのおすすめの教材を紹介しておきます。おそらく参考書で初めてスラッシュリーディングの考え方と取り入れた『英文直読TRY AGAIN!』をぜひ利用してください。
正直言って、私のリーディング力の根幹はこの問題集で養われました。スラッシュリーディングの考え方がとても分かりやすく説明されています。問題演習を通して、スラッシュリーディングを効果的に身につけることができますよ。
英語系の資格試験の長文も楽々になります!

最後までお読みいただきありがとうございました。