どうも、たそです!現役で英語教師をやってます。
今回は、大学入学共通テストの英語(リスニング)の傾向と対策を考えてみましたよ!
2021年から新しく導入された大学入学共通テスト(以下共通テスト)。
センター試験の頃から、英語にはリスニング試験がありましたが、共通テストになってかなり変化が見られましたね。
現役の高校英語教師が、実際に問題を解いて、リスニング問題の傾向と対策を考えていきます。
来年以降に受験を控える高校1・2年生には是非参考にしておいて欲しい内容ですよ!
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大学入学共通テスト・リスニングを高校教師が分析
まず問題を解く前に、パッと見て分かるセンター試験からの変更点が3つ。
- 50点満点から100点満点に変更
- 問題数が25問から37問に増加
- すべて2回流されていた音声が設問によって1回に
この3点だけでも、リスニング重視の傾向が見えますね!
制限時間はセンターと同じ30分。問題数が増えたから1回だけ流す方法を導入したのでしょう。しかも第3問〜第6問が1回だけしか聞けない。
単純に考えて、リスニングの試験は、後半の方が長くて難しい傾向があります(英検やTOEICでも同様)。そう考えると、難易度はやや上がったのではないでしょうか。
ともかく実際に解答してみましょう。問題と音声を載せておきます。
実際に、解き終えての感想を一言で言うと。
うーん、高校生にとって少し難しいものがあるかもしれない。
大手予備校の分析では、難易度は「例年通り」とのことでしたが、個人的には「やや難」では無いかと思いました。
自己採点の結果、無事満点をゲットできたのですが、やはり第3問〜第6問までが1回しか聞けないのは大きなハードルですね。受験生には少し厳しめの設定な気がしました。
それでは設問分析をしていきましょう。
大問 | 内容等 | 配点等 | 難易度 |
---|---|---|---|
第1問A | 短い英文を聞いて、状況を英文から選ぶ | 4題16点 | 易 |
第1問B | 短い英文を聞いて、状況をイラストから選ぶ | 3題9点 | 易 |
第2問 | 短い対話と問いを聞いて、答えとなるイラストを選ぶ *状況が与えられる | 4題16点 | 標準 |
第3問 | 対話を聞いて、答えとなる英文を選ぶ *状況が与えられる *問15と17はイギリス発音 | 6題18点 | 標準 |
第4問A | ・先生の説明を聞いて、グラフの空欄を埋める ・DVDの値下げについて聞いて、割引率の表の空欄を埋める | 2題8点 | 標準 |
第4問B | ミュージカルに関する4人のアドバイスを聞いて、与えられた状況にあったものを選ぶ *イギリス発音 | 1題4点 | 標準 |
第5問 | 状況・ワークシート・図表が与えらえれた上で、幸福に関する英語の講義を聞く | 7題15点 | やや難 |
第6問A | フランス留学に関する二人の対話を聞いて、問いに答える | 2題6点 | 標準 |
第6問B | 紙のレシートに関する4人の議論を聞いて、問いに答える *日本人の話す英語 | 2題8点 | やや難 |
昨年までのセンター試験と異なり、共通テストから配点が問題ごとに異なっていますね。
センター試験は難易度に関わらず、すべて2点でした。共通テストでは3点の問題と4点の問題になっています。
分析から分かることをまとめてみます。
分析から分かること
- 第1問〜第3問は難易度が低めのオーソドックスな問題(59点)
- 第4問〜第6問は図表等を用いた複合的な問題で難易度は高め(41点)
- 第2問以降はすべて具体的な場面や状況が与えられている
- イギリス人や日本人が話す英語が流れる
では、この分析を踏まえて、共通テスト・リスニングの出題の傾向と対策を具体的に考えていきましょう。
大学入学共通テスト英語(リスニング)の傾向と対策
大学入学共通テスト英語(リスニング)の傾向を先ほどの分析から考えていきます。
リスニングの出題傾向
- 基本的な聞き取り問題(短い英文・モノローグ・対話)が約6割を占める
- 応用的な問題(長めの英文・グラフや図表などの資料)が約4割を占める
- いろいろな英語が流れる(アメリカ英語以外も出題)
- 具体的な場面での聞き取り能力(授業・アルバイト・アドバイス・ディスカッション)
- 多様な問題形式(ワークシート記入等)
一つずつ傾向を確認して、対策を考えていきましょう。
1 基本的な聞き取り問題が約6割
第1問から第3問まではオーソドックスな問題が出題されます。
- 第1問 短い英文を聞いて状況を選ぶ
- 第2問 対話の場面として適切なイラスト選ぶ
- 第3問 対話を聞いて、問い(問題冊子にある)に答える
これらは、従来のセンター試験や英検などとあまり変わらないタイプの問題で、聞き取る英語も難しい単語や表現が含まれていません。
リスニングが苦手な人は、この第1問〜第3問のようなオーソドックスな問題で確実に得点できるような取り組みが必要ですね。
2 応用的な問題が約4割
第4問から第6問は、英語を聞き取るだけでなく、資料を参考にしながら解答をしていく形式がほとんどでした。
- 第4問A 聞き取った内容をもとに円グラフ・図表を埋める
- 第4問B 状況と条件をもとに、4人のアドバイスを聞き取る
- 第5問 大学の授業を聞いて、ワークシートを埋める
- 第6問B 4人のディスカッションをまとめる
こうした問題は、ただ聞き取るだけでなく、与えられた状況やワークシート・グラフを素早く読み取る必要があります。
特に、第5問では英語を聞き取る前に、頭に入れておく情報が結構たくさんありました。
実際に英語を聞く前に、「状況」、「ワークシート」、「設問と選択肢」に目を通すとなると、結構なスピードで情報を整理しておかないといけないですね。
第4問以降の応用的な問題に対応するには、リスニング力はもちろん、素早く情報を読み取る力も必要となりますね。
3 いろいろな英語が流れる
今回の共通テストからアメリカ英語以外も流れるようになりました。
私が分かる範囲でも、第3問と第4問Bではイギリス英語、第6問Bでは日本人の英語が流れました。
イギリス英語は、アメリカ英語に慣れていると「聞き取りにくい」と感じる人が多いようですね。特に女性の話すイギリス英語は結構独特で、慣れていないとかなり聞きづらいと思います。私は大好きなんですけど。
対策としては、さまざまな英語が話されているような教材で練習する必要がありますね。
高校の教科書の音声、市販の問題集の音声、英検のリスニング。色々と音声教材はありますが、基本的にはアメリカ英語のみです。今後、共通テストの流れを受けて、いろいろな英語の音声が取り入れられていくのだと思います。
4 具体的な場面での聞き取り能力
今回の共通テスト・リスニングでは、単にモノローグや対話を聞き取るだけでなく、具体的な場面での英語を聞き取る問題が増えたように感じました。
- 第4問 授業の講義を聞く
- 第4問 アルバイトでの仕事の指示を聞く
- 第4問 ミュージカル選びのアドバイスを聞く
- 第5問 授業の講義を聞く
- 第6問 レシートに関する4人のディスカッションを聞く
実際、センター試験(2020年度)では、具体的な場面のある問題は1題のみ。
そう考えると具体的な場面での聞き取り練習が必須になりますね。
5 多様な問題形式
今回の共通テスト・リスニング。最後の大きな傾向の変化は、問題形式が多様化したこと。
一般的なリスニングテストは、英語を聞いて、それに対する問いの答えを選んだり、イラストを選んだりするもの。
センター試験はこのような形式が多かったですね。
今回の共通テストから、解答の方法にかなり変化が見られました。
先ほどの第5問のようなワークシートを埋める問題や表やグラフを埋める問題。さらに、「意見を表しているグラフを選べ」というよく分からない問題もありました。
以上のように、センター試験と比較して、かなりの傾向の変化があった共通テスト・リスニング問題。
では、来年の受験のために何をしたら良いのか、具体的な対策方法を最後に考えてみましょう。
具体的な対策方法
では具体的に何から手をつけるかを、サクッとまとめてみます。
- 語彙力を上げる(音も一緒に覚える)
- 基本的なリスニング練習をする
- 長文読解力を付ける
- 多様な英語・多様な形式の英語を聞く
まずは、語彙力。もっといえば聞こえる単語を増やしていきましょう。単語を暗記する際、発音も一緒に覚えて、「聞いて分かる」レベルにすることが大事です。
音を重視して、単語を増やしていく必要があるよ!
おすすめの単語帳は別の記事でまとめていますので、自分にぴったりの単語帳を見つけてください。
-
【現役英語教師がすすめる】英単語帳10選|高校入試からTOEICまで
続きを見る
次に、基本的なリスニング練習をします。傾向が変わったとはいえ、約6割はオーソドックスなリスニング問題です。まずは、この6割を確実に得点できるように基本練習をしておきましょう。
おすすめなのは、英検の問題集。センター試験は2級レベルなので、英検2級のリスニング練習をしておけば良いですね。
英検の学習は資格取得にもつながるから、勉強しておいても損はないですよ。
鉄板は旺文社の過去問題集がいいですね。
続いて長文読解力を鍛えていきましょう。
リスニングと長文読解力は無関係に思えるかもしれないですが、英語の長文を読解する力は、聞き取った英文の内容を理解するために必須と言えます。
特に、長めの英文を聞き取るような場合には長文読解力は大切です。
いくら英語を1語1語正確に聞き取っても、内容をさっと理解できないと、次々流れてくる英語の波に飲まれてしまう・・・。
さらに、英語で書かれた資料やグラフなどをさっと読み取らないといけないから、英文を素早く読み取る読解力は大切ですよね。
長文読解力、リーディング力の伸ばし方に関しては別の記事でまとめていますので、合わせてお読みください。
-
英語リーディングの伸びる勉強法【5つの手順で攻略】
続きを見る
最後に、多様な英語・多様な形式の英語に慣れる。
正直言って、教科書や問題集を離れたものを利用した方が良いでしょう。
3つほど候補をあげておきます。
- NHKのラジオ講座
- スタディサプリ
- 海外ドラマを英語で見る
NHKのラジオ講座は、私自身かなり利用させてもらっています。教科書的なお決まりの状況を離れて、日常生活の中のいろんな場面や形式のリスニングが経験できるし、アメリカ人以外の英語をたくさん聞くこともできます。
続いてスタディサプリ。こちらもかなりおすすめ。具体的な場面や状況でのリスニングができるし、アプリなので、スマホ1つで勉強できて、至れり尽せりです。
継続して学習するのに自信がない人は、スタディサプリを利用した方がいいかもしれないですね。アプリが学習状況を管理してくれるので、「しないといけない!」と思えちゃいます。
最後は海外ドラマを見るというやり方。個人的には一番おすすめできる方法。
何より楽しみながらリスニングできるのが最大の利点。
英語学習におすすめの海外ドラマについては別の記事でまとめていますので、合わせてお読みください。
-
【初心者向け】海外ドラマで英語学習をする人が最初に見るべき4作品
続きを見る
まとめ 共通テストリスニングは早めの対策が鍵
今回は、共通テスト・英語リスニングの分析から傾向と対策までを考えてみました。
筆記試験と同じように、かなり実践的かつ実用的な英語力が求められているように感じました。
来年、あるいは2年後に共通テストを受験する高校生は、今回紹介したような対策と同時に、日頃から英語を使うようなトレーニングをしていた方がいいですね。
単語を覚えて、リスニングの問題を解くのも大切だけど、英語で映画をみたり、英語の本を読んだりしておくと、本物の英語力が身に付いて、共通テスト対策にもなりますよ。きっと。
受験勉強をすることで同時に使える英語もゲットできる!前向きに取り組んでいこう!
最後までお読みいただきありがとうございました。