今の教育現場ではICTを活用した教育が推進されています。
ICT教育
ICT教育の「ICT」は、Information and Communication Technology の頭文字で、日本語に直すと「情報通信技術」となります。
具体的には、パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を利用する教育になります。
私は、そこまでICT機器が活用できているとは言えないけど、Apple TVを使って「お手軽ICT授業」を展開中。このAppleTVは、授業で一度使い始めると、便利すぎて手放せない。
この記事の内容
- ICT教育に手を出したきっかけ
- ICT教育のメリット・デメリット
- Apple TVとiPhone を利用した授業方法
この記事が、授業にひと工夫入れたいとお考えの先生方の参考になれば幸いです。
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ICT教育のメリットとデメリット
現在推進されているICT教育のメリットとデメリットをチェックしてみましょう。
メリットの方が大きい!と感じたら気軽に初めてみたら良いですね。
ICT教育のメリット
自分自身が感じているICT教育のメリットですので、全てではないかと思いますが代表的なものを確認しましょう。
- 授業の幅が広がる(インターネット・リモート講義)
- 生徒のモチベーションが上がる(動画や映像を利用)
- 効率的な授業ができる(板書が不要)
- 教材が簡単に共有できる
他にもあるとは思いますが、個人的には上の4点が大きいですね。
ICT機器を使って、視覚的な教材を用いると、それだけで楽しそうな授業になります。
特に、生徒のモチベーションにはかなりプラスになっていると感じますね。
ICT教育のデメリット
一方で、デメリットは?と考えてみると・・・
- ICT機器の準備と導入
- 教材作成の手間がかかる
- 生徒の想像力の低下
以上の3つが代表的なデメリットかな?と考えます。
もちろん一番のネックは機器の導入。
ICT機器の導入は学校によって差があるし、教員に一人一台と言うところも少ないので、必要なものは個人負担になってしまいます。私で言えば、プロジェクター以外は全部自前になります。
ICT教育をかじり始めたきっかけ
正直、数年前の私は、ICT教育には否定的な立場でした。
当時、自分の中で、デメリット(機材の準備の負担)の方が大きかったからです。
授業のために大金はたいて機材を買って、授業の度に大きな荷物を抱えて移動して・・・ばかばかしい・・
という考え方をしていました。
大きな転機になったのは職場(学校)が変わったことでした。
前任校は、そこそこ真面目な生徒がいるから、板書も見るし、ノートもちゃんと書くし、先生の話も聞こうとする。理解しようとする。ある程度学力もある。モチベーションも高い。
言ってみればICT教育をするメリットをあまり感じなかったんですね。もともとモチベーションは高い生徒集団でしたし。
ところが、転勤した学校はどんな所かというと・・・
- 学力がない
- 意欲がない
- 学習する習慣がない
とっても困りました。
今までのやり方ではうまくいかない。
まず授業を聞かない、と言うより「聞けない」し、先生の話を聞かないし、板書をしても注目しない、という生徒がたくさんいました。
少しでも、授業に集中できる楽しそうなことをしないと、まったく授業が成立しない。
「映像を利用して、なんとか前を向かせよう!
こんな安易な考えからスタートしたのが自分のICT教育のスタートでした。
Apple TVで始めるお手軽ICT教育
ではここから、私の授業スタイルやICTの利用方法を紹介します。
まずは、授業に持っていくものから。
毎授業の持参物
- スクリーン
- プロジェクター
- Apple TV
- ケーブル類
- 教材の入ったiPhone (iPad)
- bluetooth speaker
- チョーク&ホワイトボードマーカー
- ポケットWifi
ずらっと並べてみるとこんな感じ。これを毎時間運んで教室に向かって行きます。
たくさんありそうですが、慣れてしまえば、持ち運びはそんなに苦労しません。教室でのセッティングも2、3分あれば大丈夫。
こんな感じでセッティング完了!
さて、Apple TVで具体的に何ができるのかを紹介します。
Apple TVを使ったICT教育は何ができる?
授業の中でApple TVを使うといろんなことができますが、私が実践していることは次の3つくらいです。
- スマホ内の教材や写真・動画をサッとスクリーンに投影できる
- 学習むけのスマホアプリを利用できる
- 映画などを見せることができる
まずは教材をスクリーンにサッと提示ができるのが超便利。
さらに自分が作っているスクリーン(IZUMI-COSMO Write on the Light)は、ホワイトマーカーで書き込めるので、生徒も見やすいらしい。何より英文なんかの板書も不要で手間が省けて助かります。
学習向けのスマホアプリを利用すると簡単に授業にゲーム形式を取り入れることができますね。
例えば、英語の学習アプリで文法の練習をみんなでやるのも良いですし、リスニングの問題をやっても、結構盛り上がりました。
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授業に関した写真なんかも、スマホからすぐに見せることができるので、生徒の理解に役立ちますね。
文字だけでは、イメージしにくいもの等も映像でみると理解が容易になります。
また、クリスマスシーズンなんかに、クリスマスに関連した映画でも見せたいなぁ・・・と思ったら、普通はDVDを借りてきて、プレーヤーをプロジェクターにつないで・・・と面倒くさいところですが、Apple TVであれば簡単に映画を見せることができます。
もちろん、NetflixやHulu、U-NEXTなどの動画視聴サービスやポケットWifiの契約が必要ですが、いちいちレンタルする手間を考えたら随分安いし、簡単です。何より生徒が喜びます!
動画視聴サービスやポケットwifiについては別の記事でもまとめていますので、合わせてお読みくださいね。
困難校でのICT教育
さて、私は、いわゆる困難校に転勤してから、ICTらしきものをスタートしました。
実際に困難校で授業に困っている人向けの活用方法を提案してみます。
まず、困難校で授業をする上での大きな問題点は・・・
- 学力が低い(学力以前の問題も)
- 意欲が低い
特に「学力が低い」と言っても、学力以前の問題で、文字の認識が苦手だったり、集中力がなかったりと、かなり厳しい状況。
例えば、英語の授業等では、教科書や問題集と同じ内容を板書して、その板書で説明をします。おそらくこれが普通のやり方で、十数年間、このやり方で授業をしていました。
ところが、学力がしんどい生徒は、自分の教科書・問題集と板書の内容が同じだと分からない。
だから、こっちが一生懸命説明をしても、ノートや問題集に書き込もうとしない。
それは、先生がどこを説明しているのか分からない、何を書いたら良いのか分からないから、ということでした。
要するに、学力が厳しい生徒は、教科書やノートと全く同じものを使って説明しないと、どこをやっているのか分からなくなる。
ということで、私がしたことは、とてもシンプル。
- 教科書・問題集・プリントの写真をiphoneのカメラで撮る
- Apple TV経由でプロジェクターでスクリーンに投影
- スクリーンに書き込みながら説明
これで、しんどい生徒たちも、どこをやっているのかが見える。
理解のほどは分かりませんが、ノートや問題集・プリントに書き込みするようになり、なんとか授業にもついてこれるようになりました。
次に「意欲の低さ」ですが、これはゲームを取り入れたり、映画なんかを見せたりとなんとかしています。
例えば、スマホアプリで授業の最初のつかみ的なことをしたり、「ここまで頑張って授業をしたら、残りの時間は映画を見よう」などで、モチベーションをあげていくようにしています。
映画が見たいから、勉強する気がない生徒も、集中して授業や話を聞くし、普段はうるさい生徒も、映画見たさに授業の邪魔をせずに、静かに過ごしてくれます。
むしろ、普段うるさい生徒が「ちょい、静かにしろや!授業が進まないじゃん!」といういうくらいですよ(笑)
進学校でのICT教育
さて、進学校にいる頃は、ICTを活用していなかった私ですが、勉強に力を入れている学校であれば、英語の授業の中で、どんな風に使うかな?と考えてみます。
今度、進学校に移ったらやりたいことは次の3つくらいです。
- 授業の動機付け
- 生きた教材の活用
- 生徒の成果物の共有
まずは「動機付け」
進学校であれ、困難校であれ、授業の最初に関連した動画や映像を見せることで、授業に関心を持たせて、モチベーションが上がります。
環境問題を扱った英文を読むのなら、例えば、下のような「グレタ」さんのスピーチ映像を見せてもいいですね。
続いて「生きた教材」について。
ICT機器があれば、本物の生きた教材を活用できます。
先ほどの「グレタ」さんのスピーチ映像など、実際に使われてる英語を聞くこともできますね。ニュース映像を見て、リスニング練習をしたり、そのスクリプトを使ってリーディング演習をしたりすることもできます。
少しハードルが高いかもしれませんが、ただ教科書だけを使って授業をするよりもグッとモチベーションは上がりますね。
最後の活用方法は「生徒の成果物の共有」
Apple TVとiPhone の連携の凄さは、一瞬でつながるということ。つまり、iPhoneで撮った写真が即座にApple TV経由でスクリーンに映し出すことができます。
例えば、授業の中で生徒に作文を書かせます。よく出来た作文や添削が必要な作文をその場でパシャっと撮影して、すぐにスクリーンに写してあげても良いですね。
良いものはみんなのお手本として、添削が必要なものをスクリーンに移して、添削することで、とても良い生きた教材になります。
まとめ ICT教育を簡単に始めるならApple TVがおすすめ!
今回は、お手軽にICT教育を始めるための神ツールApple TVを使った、簡単なICT教育の方法を紹介しました。
ICT教育を活用するメリットは・・・
ポイント
お互いのモチベーションアップ!!
生徒の意欲が上がって、授業を聞いてくれたり、頑張ってくれたり、そんな姿をみると、こっちもやる気が出てきます!
ICT教育はWin-Winの教育。ちょっとでもいいから導入すべきですね。
世間が求めているような立派なICT教育という大層なものではありませんが、授業がマンネリで、何か工夫がしたいとお考えの人はぜひ利用をおすすめします。